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- 秋田ノーザンブレッツ特別座談会 共同キャプテン齋藤 × 片倉HC
2022年12月24日に岩手県釜石市にて行われた入れ替え戦を勝利で飾り、トップイーストリーグAグループへの残留を決めて今シーズンを終えた秋田ノーザンブレッツ。
次のシーズンに向けて日々の練習に打ち込んでいる秋田ノーザンブレッツのメンバーから、今回は共同キャプテンの齋藤さんと、ヘッドコーチの片倉さんをお招きして座談会を実現!ともに大阪府出身のお二人に、ラグビーや秋田ノーザンブレッツに対する思いを伺いました。
ーーーお二人は、ラグビーのどんなところが好きですか?
齋藤 「いい仲間」なんですよね、ラグビーって。
自分はソフトボールとサッカーとラグビーを経験してきて、その中でラグビーを一番長くやっているんですけど、ラグビーの仲間ってすごく絆が深いというか。
今でも高校とか大学の仲間と連絡をとったりするし、年末帰省したら絶対に会うし。秋田の人たちも暖かく迎え入れてくれて、外国人の選手とも交流ができて。ラグビーのプレーも好きなんですけど、ラグビー独特の空気というか、仲間意識というか、そういう部分が大好きですね。チェリーさん(片倉コーチの愛称)は?
片倉 やっぱりあるよね。ラグビー独特というか。距離が近いんだよね、普通の知り合いよりも。知らない人同士でも、ラグビーやってたって話しになると「えっ、やってたんですか」って急にガッと距離が近くなるやん。
齋藤 スーパーとかでもカンタベリーの服を着てる人を見ると「あの人ラグビーやってる」って思いますやん。
片倉 あるある。間違いなくある。ちょっと胸板厚かったらラグビーぽいな、とか(笑)
齋藤 耳潰れてたりしたら、絶対ラグビーだな、とか(笑)そういう良さもラグビーにはあると思う。
片倉 何でそうなんかなって、考えたことない?
俺は考えたことあるんだけど、ラグビーの知り合いって何で絆が深いんやろって。
齋藤 何でそうなんかな……一緒にめちゃめちゃキツい思いをしてきたからかな。高校の時とか、みんなで合宿や練習をやっていく中で、より相手を知ろうとするというか。相手も自分を知ろうとするし、お互いに思いやる。激しいコンタクトプレーで出てくる信頼感というのもあると思うので、それで絆が深まってるのかな、って思いますね。
片倉 俺も同じ考えやった。ラグビーってかなり激しいスポーツやん。コンタクトも激しいし、走る強度も高いし、スポーツの中でも一位を争うくらい激しいんちゃうかな。
齋藤 ラグビーやってない人に「ラグビーやってます」と言うと「すごいね!」って言われるスポーツなんですよね。
片倉 極限でやってるのをみんな知ってるし、その極限の中で決められたルールを守るためにみんなと繋がってなくちゃいけないし。だから絆が自然と深くなる。ラグビーにはそういう魅力もあるんかなと思いますね。
ーーーゲーム中、対戦相手とエキサイトしてしまうことはありますか?
齋藤 自分は、なんですけど、対戦相手の行動によっては瞬間的に興奮状態になっちゃうことはあります。試合中は相手を「ぶっとばす」くらいの気持ちでやっていて。非日常の感覚を持っていないと戦えないので。
でもノーサイドっていう試合終了の言葉の通り、試合が終わったら最後に握手して、整列した時に「ごめん」って感じに相手と言葉を交わしたりすることもあるので、そういうところもラグビーの良さかな。
ーーー秋田ノーザンブレッツでのキャプテンとしての役割、コーチとしての役割についてお考えを教えてください。
齋藤 自分が思うキャプテンの重要な役割は、秋田ノーザンブレッツが今まで積み上げてきたことと、これからの秋田ノーザンブレッツがやっていきたいことを、どれだけチームの細部に落とし込めるかということですね。
試合中・練習中にセタレキチームディレクターやチェリーさんが言ってることを先ず自分が理解して、それをチーム全体に分かりやすく端的に伝えていくことも大事な役割のひとつで、特に自分がキャプテンシーを出さなきゃいけない部分です。チームがピンチに追い込まれたり、チームがどうしようと迷った時には、指針を示せるようなキャプテンでいることが必要だなと思ってます。その伝え方については、まだまだ勉強中ではあるんですけどね。
片倉 コーチの中にも色んな役割があるんですが大きな考え方としては、組織やチームのビジョンや目標をクリアにするというのが一番の役割だと思うんですよね。尚且つそのクリアになったものに対して、どういうプロセスを踏んでいくかというのを全員に対して更にクリアにしていく。そのあたりをサポートをしていきながら、選手と一緒になって成長していくというのがコーチの役割。
チームにおける選手も、会社における従業員も、そこのプロセスについては同じだと思うんですよね。僕はそういう風に考えています。
ーーー前年度トップイーストリーグBグループを制し、今季からトップイーストリーグAグループに上がるにあたって、どのような準備をしましたか?
齋藤 自分たちではスキルだったりをしっかり準備して、セタレキチームディレクターには自分たちに戦術を落とし込んでもらって。チェリーさんが来てくれてからは具体的に戦術の話をしていただいているので、そこも重視して準備しました。
あとは試合まで、勝つマインドをどんだけ作れるか、というところでしたね。
片倉 ラグビーって、コーチが試合中に何も出来ないんですよ。インカムで伝えることは出来るけど、例えば野球みたいにはいかない。だから、いかに準備をしていけるかが大事なスポーツだなって思うんだよね。コンタクトプレーの激しい競技でありながら、戦略的に考えていかないと試合には勝てない。そのためのプランニングがすごく重要かなと。
今、健也からこういう話しが聞けたのは、コーチとしては良かったなと思うし、みんなからそんな風に思ってもらえるようにしっかりこれからも準備したいなと思います。
齋藤 チェリーさんはそこを重要視されてるなと感じます。
チェリーさんはその日の練習の後にしっかりとレビューをしてもう一度自分たちに落とし込んでくれる。練習をやったままにするんじゃなくて、勉強した後に復習するみたいな感じで。そうすることによって、自分たちの頭の中にどんどん入りやすくなってくる。
その戦術的なところが自分たちの中で明確になってくる過程があったのはチェリーさんのお陰だし、成長するために必要な要因のひとつだなと思いました。
ーーー2022シーズン、実際にAグループで戦ってみてどうでしたか?
齋藤 正直、いけるなっていう感じはしました。自分的には「全然無理」だとは感じなくて。自分たちがやるべきことを突き詰めて、優位な時間を継続すれば戦っていけると思いました。ただ、セットプレーだったり規律のところだったりで自滅してしまった部分があって、自分たちで流れを獲り切れなかったというところが、ラウンド1(前半戦)で感じたことです。
それでも、チェリーさんが落とし込んでくれた戦術的な部分の成長は随所で見られたし、試合中にメンバーと話していてもやろうとしてることは明確で「こうしよう」という話しも出来ていた。
もっと高いレベルを目指して自分たちのやるべきことを実践して、その中で試合中に改善していければと思います。
片倉 トップイーストリーグAというのは、やっぱり元々トップイーストリーグ上位のチームがベースにあるし、実際レベル感的にもリーグワンのディビジョン3のチーム位の実力を持つチームが揃っているんだよね。それはもう感覚でわかる。間違いなくそう。
じゃあ今、秋田ノーザンブレッツがどの位置にいるかって言ったら、そこの一段下になるんだよね、現状は。僕たちは今そこを突き抜けるための箱を作ってる段階で、それは戦術的な部分であったり、必要なスキルの部分あったりで、今確実にレベルアップしている最中のところ。そういう部分をしっかりやり切ることができれば、今よりも上にあがれる。それぐらいの差だと思う。
そこの中身を来季に向けてどう積み上げていけるかが、非常に大事かなと。自分は届く範囲だと思っています。