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プロ・実業団・クラブチーム
カヌースラローム競技 佐々木廉選手

企業×アスリート 万六建設株式会社所属
カヌースラローム佐々木選手

五輪出場を目指して

カヌースラロームナショナルメンバーとして2024パリオリンピック出場を目指していた佐々木廉選手。五輪出場枠をかけて挑んだアジア地区最終予選会(※)だったが、結果は9位。オリンピック出場の夢は叶わなかった。
大会後、佐々木選手は自身のSNSにてこのように語っている。
「2019年11月に、肩の手術をしてから今までずっと自分自身と闘いながら駆け抜けてきました。手術後、心では大丈夫だと思っていても体が震えてしまったり、勝手に反応してしまい動きが悪くなったりもしていました。今年は特に全てのレースで実力を出しきれなかったし、たくさん練習してきたからこそ考えれば考えるほど悔しいです。ただ、ここまで戦えるようになったのは、周りでたくさんの人たちがサポートをしてくれて、応援してくださったおかげです。万六建設株式会社という最高の会社に出会い、万六建設所属としてもレースに出場できたことを誇りに思います。まだまだ決勝のレースを思い出すと涙が出ちゃいますが、美味しいものたくさん食べてゆっくりしたいと思います。皆様本当に応援ありがとうございました!」

※2023年10月27日(金)〜29日(日)に東京都江戸川区カヌースラロームセンターで行われた「2023 カヌースラローム アジア選手権・アジア大陸予選会 / 第46回NHK杯全日本カヌースラローム競技大会」
カヌースラローム競技とは
カヌースラローム競技はヨーロッパで盛んなスポーツ。ドイツ、フランス、スロバキア、スロべニア、チェコ、スペイン、イギリス、オーストラリアなどが強豪国として挙げられる。カヌースラロームは人工の急流コースで行われ、コース上に18~25箇所あるゲートと呼ばれるポールの間を素早く通過する競技。ゴールまでにかかった所要時間と技術の両方を競い、ゲートを通過できなかったり、ポールに接触したりすることで与えられるペナルティは減点対象となり注意が必要。
カヌースラローム競技 佐々木廉選手

小学生でカヌーに出会う

福岡県で生まれ、自然豊かな東京都青梅市で育った佐々木選手。青梅市は環境的に川が近くにありカヌーが盛んな地域で、オリンピック選手が多く誕生している。
小学6年生の時、2人の弟と共にカヌー講習会に参加したことをきっかけに姉弟3人でカヌーを始めた。一番上の姉として弟の面倒を見がてら、というスタートだった。

経験の積み重ねで技術が磨かれるカヌー競技

佐々木選手が本格的にカヌー競技に取り組むようになったのは中学生の時、「オリンピックを目指したい」という気持ちから真剣に競技に打ち込むようになり、2018年大学3年生の時にはシニアの日本代表に選ばれた。
そこからは世界に挑戦する機会が増えていく。
「若さが武器になる競技と違って、経験の積み重ねがカヌーの技術に反映していく感じがありますね」
日本代表に選ばれてからは更に練習の質は上がり、世界に挑む機会も増え、より一層力を入れて練習に取り組むようになった。
「ワールドカップやランキングレースなどの大会が毎週ありヨーロッパを転戦します。1週目はドイツに行き、2週目はチェコに行くみたいな感じで。ヨーロッパはやっぱりレベルが高いので、刺激をたくさんもらいながら練習していました。私自身のレベルとしてもまだまだ差を感じていました」

カヌースラローム競技 佐々木廉選手

怪我での挫折

順調だった佐々木選手の競技人生だが、2019年、大学3年生の時、東京オリンピックの日本代表選考会を控えたタイミングで肩を脱臼。怪我からの挫折を経験する。
「怪我をする前の感覚にメンタルを持っていくのがすごく難しくて。気にしないようにしていても心のどこかで怪我を引きずっているというか、乗り越えられなかったですね。手術をして肩を完全に固定する期間があり、リハビリも痛くて大変でした」

大学卒業後、万六建設に入社

大学を卒業した後、佐々木選手が入社したのは「万六建設株式会社」。秋田県仙北市の、田沢湖からほど近い場所に本社を構える建設会社だ。
リオオリンピックに出場した佐々木将汰選手も所属している同社。佐々木選手が万六建設を知ったきっかけは、佐々木兄弟(将汰・翼)がリオオリンピック出場を決めた大会へ駆けつけていた同社の応援団の姿だったと言う。
「社員の方々が一丸となって応援している姿がすごく良いなと思いました。佐々木将汰選手に、同じ日本代表としての遠征の際に会社についてお話を聞きました。そして自分から万六建設に入社志望しました」
子供の頃から暮らしてきた東京とは環境の異なる秋田へ移ることに不安は感じなかったのだろうか。
「不便に感じる部分もあるけれど、私は秋田の自然豊かなところがのんびりしていてすごく好きです。ご飯も野菜もすごく美味しいし、会社も社長をはじめ社員の皆様が暖かく迎え入れてくださいました」

カヌースラローム競技 佐々木廉選手

五輪出場を目指して

万六建設への入社後も、2023年10月のパリオリンピック選考選手権までは東京葛西を練習拠点としていた。迎えた先述の最終予選での結果は9位。目標としていたパリオリンピックの出場権を獲得することは叶わなかった。
「本当にカヌーのことばかりと言うか、カヌーを中心に生活していたのでやっぱり結果を出せずつらかったです。成績を残せなかったことにかなり落ち込みました。なかなか気持ちの整理がつかないと言うか、試合が終わった後はいろいろな感情がありました」
パリの地で万六建設の応援を背に活躍する姿を見せることが、カヌー競技に打ち込む上での大きな原動力になっていたと言う。
「負けず嫌いなので、負けた試合の時とかのことを思い出して、負けたくないから頑張ろうって。応援してくださる皆様に成績で応えたいと思っていました」

佐々木廉選手の今

「今年は国内大会にフォーカスして、国民スポーツ大会で入賞を目指すことはもちろんですが、一番はカヌーを楽しんでやりたいと思っています。今までちょっと張り詰めていたところがあったので、ちょっと楽しみたいな。美味しいものを食べたり、ワンちゃんに癒されたりしたいかも。今の落ち着いた日常にほっとしています」
取材を実施した4月末。どこまでも深く青く透き通る田沢湖と空のもとで、佐々木選手は晴れやかな笑顔を見せてくれた。

カヌースラローム競技 佐々木廉選手
カヌースラローム競技 佐々木廉選手
万六建設株式会社 所属
佐々木 廉
Ren Sasaki (旧姓:三島)
1997年12月15日生まれ AB型 
東京都青梅市出身 / 東京都青梅総合高校卒業後、日本体育大学へ進学
2016年 アジア選手権国別2位、ジャパンカップ最終戦(K-1)2位
2018年 シニア日本代表 ・ ワールドカップ出場(K-1、C-1)
アジア大会代表(C-1)
2020年 万六建設株式会社 入社、NHK杯(K-1、C-1)優勝
2023年 カヌースラロームナショナルチーム(女子C-1)
ワールドカップ第1戦(C-1)23位
2018~2023年 カヌースラローム日本代表
2012~2020年 ジュニア・U23日本代表
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2023.06.05